この記事は、2人の男の子の育児経験を基に執筆しています。次男坊4ヶ月の頃から本格的に導入した「ジーナ式育児」のメリット・デメリット、やり方やコツ、どんな人におすすめかなどを紹介します。「育児をとにかく楽にしたい」「自分の時間が欲しい」「機嫌よく過ごしたい」と考えている方の、選択肢のひとつになれば嬉しいです。
みなさんは「ジーナ式」と聞いて、何を思い浮かべますか?分刻みの厳しいスケジュールでしょうか。赤ちゃんが泣いても1人で寝かせるトレーニングでしょうか。
実は、どちらもジーナ式の本質ではないんです。
私は第二子のネントレを始めた後に、初めてジーナ式の本を読みました。それまで読んでいなかったのは、先ほど書いたイメージのせい。「ジーナ式って、なんか厳しそう……」と思っていたんです。
でも次男坊にジーナ式スケジュールを適用してみて、その思い込みが間違っていたことに気づきました。本当にラク!!!なんなら1人目出産後からやっていれば、今もっとラクになったはずなのに!!!とちょっと後悔。
なんでもっと早く教えてくれなかったの!!!というやり場のない気持ちを、この記事に込めます。今妊娠中の方、出産を控えている方、出産直後で赤ちゃんが寝てくれなくて悩んでいる方が、ジーナ式を検討するきっかけになればと思っています。
↑ジーナ式の実践には、教科書と言えるこの本が必要です。
ジーナ式とは
ジーナ式とは、カリスマナニーのジーナ・フォード氏が提唱する、授乳・食事と睡眠をスケジュールに沿って行う育児法のこと。ジーナ式のキモは、赤ちゃんのリズムに沿った生活を送らせてあげることと、月齢が進むに従ってスケジュールを調整してあげることにあります。きちんと飲んで、または食べてお腹いっぱいになり、自然と眠くなるタイミングで、1人で寝付く環境を整えてあげることで、小さいうちから1人で長時間眠る習慣をつけていきます。
ジーナ式スケジュールで育児をすると、赤ちゃんの要求(お腹がすいた、ねむい、疲れた、など)に先回りして対応できるので、ギャン泣きすることが本当に少ないです。親の方もスケジュールの実践を通して赤ちゃんの生活リズムを理解できるので、泣き出した時に「お腹は減っていないはず」「眠いのかな」など理由を推測しやすくなり、対応がとても楽になります。
赤ちゃんを時間通りに寝かせるなんて、本当に可能なの?という疑問が当然湧いてきます。赤ちゃんも生き物なので、毎日同じようにすんなり寝るとは限りません。本書には、なぜ寝ないのか問題の探り方や、寝なかった時のスケジュール調整の対応なども細かに書かれています。もしあなたが「毎日同じようになんて絶対無理!」と感じていても、その想像よりずっと実践向きのメソッドなんです。
ジーナ式のメリット
ジーナ式を実践して筆者が感じたメリットです。
- よく寝る。
- 寝かしつけ(抱っこで長時間歩くなど)が不要。添い寝すら不要。
- よって、肩や腰の痛み、辛さが軽減される。
- さらに、家事を片付ける時間や、休息、好きなことをする時間が取れる。
- 赤ちゃんは十分な睡眠が取れているので、機嫌が良い。
- 機嫌が悪くなった時の原因を探りやすくなる。
- 赤ちゃんの都合に沿って無理なく外出などの予定が立てられる。
- 睡眠と授乳が結びつかないので、断乳・卒乳がスムーズ。
ジーナ式のデメリット
メリットいっぱいなジーナ式ですが、苦労がないわけではありません。ジーナ式を実践する中で筆者が難しく感じたことをデメリットとしてあげておきます。
- スケジュールを定着させる根気が必要(我が家は安定するまで3ヶ月くらいかかりました)。
- 月齢が進んでから開始した場合は、それまでについてしまった睡眠の癖を取るためにネントレが必要なことがある。
- 睡眠に変な癖をつけないために、寝付く時や寝起きなどにあえて泣かせる時間があるので、心が痛む(睡眠の癖がついていなければすぐ泣かなくなります。ジーナ式の開始が早ければ早いほど、泣かせなくてすみます)。
- 赤ちゃんのスケジュールに合わせるので、外出しにくい時間帯がある(が、結果的に合わせた方が穏やかに過ごせます)。
- 教科書に使う書籍「【改訂版】カリスマ・ナニーが教える 赤ちゃんとおかあさんの快眠講座」が読みにくい。
特に書籍の読みにくさは本当に高いハードルで、最初に一読するだけでは理解できない箇所が多々あります。また、一つのトラブル(昼寝が短い、夜寝てもすぐ目が覚めるetc)に対し、解決方法を探すために本の中を行ったり来たりしないといけないことがあり、最初は苦労しました。産後の寝不足の頭で読むのは本当に大変…。後々になって、このわかりにくさは細かな事例に対応するために仕方がないことなんだと気づきましたが。それだけ具体的なトラブルにも対応できるということなので、なにか問題が起きるたび、ジーナさんに電話でもする気持ちで、本書を開いてみてください。
ジーナ式は赤ちゃんがかわいそう?
時々「ジーナ式は赤ちゃんがかわいそう」という意見が散見されます。これはおそらく、ネントレで赤ちゃんを泣かせているのを見たり聞いたりした時の反応かと思います。
実はジーナ式では、必要以上に泣かせることを良しとしません。月齢の小さい赤ちゃんには負担が大きすぎますし、月齢が進んでからは寝付く時に泣くという変な癖がついてしまう可能性があるからです。ジーナ式では、月齢によりますが、赤ちゃんが泣くのを見守る時間は最長で30分。それもぐずぐず泣きの場合のみで、泣き声がだんだん大きくなる場合はすぐ様子を見に行くよう指示があります。ジーナ式そのもので、長時間ギャン泣きさせることはないのです。
おそらく「ジーナ式=泣かせるからかわいそう」のイメージは、泣かせるネントレで有名なファーバー式と混同しているものと思われます。ではネントレがかわいそうかというと、決してそうではありません。抱っこでしか眠れない、夜中に何度も目が覚める……自分がそうだったらと考えてみてください。しんどくないですか?「成長すれば自然と1人で寝るようになるんだし」という意見もありますが、実は赤ちゃんの頃に睡眠が不規則だと、成長してから睡眠障害になるリスクが高くなるという研究結果もあるんだそう。子どもが1人部屋を使うようになった後、夜は1人で部屋で過ごせていても実はしっかり眠れておらず、その結果、昼間学校で快活に過ごせず不登校の原因になる……ということもあるのです。
真っ当な金銭感覚を身につけさせるために、スーパーで泣き喚いたとしても毎回お菓子は買わない。健康な生活習慣を身につけさせるために、多少泣いてもネントレをする。どちらも同じ、大切なしつけではないでしょうか?
ちなみに私は、自己流でネントレ開始直後に結構な時間次男坊を泣かせてしまいました。が、その後ジーナ式を実践し、定着した11ヶ月のころ、断乳ケアで助産師訪問を受けた際、担当助産師さんが次男坊の様子を見て「情緒がすごく安定していますね!」と言っていました。実際次男坊は断乳に関しては一回も、ひと泣きもせずあっさり寝付き、次の日からも目の前で着替えようが一緒にお風呂に入ろうが変わった様子はなく、逆に「おっぱいしなくなったの気づいてる??」とツッコミたくなる自然さでした。
ジーナ式導入期のネントレで多少泣かせたとしても、その後ジーナ式が軌道に乗れば「ママは自分の要求を分かってくれる」と信頼につながるはずですよ。
ジーナ式を正しく実行するためには、何度も書籍を読み返すことが大切です。ジーナ式の導入を決めたら、この本はいつでも手に取れる場所に置いておきましょう。
ジーナ式はこんな人におすすめ
1日の見通しを立てて生活できるジーナ式は、こんな人に特におすすめです。
- 赤ちゃんが産まれても、自分の時間を確保したい人
- 1日のスケジュールが決まっている方が、心が穏やかに過ごせるタイプの人
- 夜泣きが恐ろしい、できれば夜泣きは避けたい人
- 将来2人目、3人目を考えている人で、できるだけ楽に子育てしたい人(本書には、子ども2人の場合のスケジュール調整法も書かれていますが、上の子がジーナ式スケジュールに馴染んでいることが条件です。)
- 保育園に入園予定(お昼寝がお家でしっかりできていると、保育園でのお昼寝にも早く慣れることができ、子どもへの負担を軽減できる)
- 育休終了後に復職し、共働き予定(寝かしつけをなくしておくことで、仕事が始まっても家事や休息の時間を確保できる)
逆に、こんな人は導入が難しいかもしれません……?
- 赤ちゃんの要求をできるだけ聞いてあげたい、泣かせたままにするのが苦痛
- 時間を気にするより、気ままに生活したい
- 夜勤などがあり、そもそも生活リズムが違う
以前SNSでこんな投稿を見かけた時には、なるほどこういう考え方もあるよなぁ〜と思いました。
昼でも夜でも、赤ちゃんに合わせて一緒に寝ていれば睡眠時間は確保できるし、赤ちゃんと一緒に過ごせて幸せ
誰かの呟き
ジーナ式を始めるなら、絶対早い方がいい!
ジーナ式のスケジュールは、生後1週間後〜を目安に始めることができます。早いうちから始めることで、寝かしつけの癖がついてしまうのを防ぐことができ、後からネントレする必要がなくなります。また、夜間授乳の卒業がスムーズにできますので、ママの睡眠が確保でき、体力面・精神面でもプラスになります。
我が家は生後4ヶ月ごろ、ネントレにつまづいたところからジーナ式を始めましたが、最初からやっていればよかった……!と今でも本当に思います。
とはいえ月齢が進んでからでも変更可能
生後すぐは何もしなくてもベッドで寝てくれることが多かったのに、1ヶ月ほどするとだんだん泣くことが増えてきて、抱っこだとすぐ寝てくれるから抱っこして寝かしつけていたら、体重がだんだん増えてくるし寝付くまでに時間がかかるし布団に下ろすと起きる、どうしよう……と、生後半年くらいで悩み始める方もいらっしゃるかもしれません(我が家がそのパターン)。そんなケースでも、ジーナ式スケジュールに変更することができます。その際、すでに赤ちゃんが馴染んでしまった寝かしつけの癖を取るために、ネントレが必要になることがあります。
本書の中では具体的なねんねトレーニングの方法は書かれていませんので、ネントレについては別の書籍等を読んでから実践されると良いと思います。ちなみに残念ながら、ファーバー式ネントレの書籍は2024年現在、日本語訳は出版されていないようです。
ジーナ式は快適な毎日を過ごす方法のひとつ。自分に合うか見定めて
ジーナ式は、生活に馴染めば非常に楽になる育児方法です。親が規則正しい生活を送ることができる環境にあり、「夜はちゃんと寝たい」「自分の時間も欲しい」と考える人にはぴったり。また、育休後に職場復帰を予定している人にも、復帰後の生活を考えると本当におすすめです。今だけでなく、1年後、2年後にどんな生活を送りたいかをイメージしてみてください。ジーナ式はきっとその大きな手助けになってくれます。
